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三谷幸喜 映画 清須会議 あらすじ ネタバレ

三谷幸喜さんの最新作「清州会議」が公開中です!


歴史を知らない人でも楽しめるらしいという評判ですが、歴史を知ってた方がおそらく楽しめます。


各登場人物の歴史的評価をまとめました。

(私個人の主観が入っていますので参考程度に・・)




歴史上の評価(私主観です)

◆柴田勝家(役所広司)・・・戦いはめちゃんこ強いが頭は弱い。絶世の美女といわれる信長の妹のお市の方を奥さんにするという快挙を成し遂げるが、最終的に秀吉に負けて無念の自殺。

◆羽柴秀吉(大泉洋)・・・言わずと知れた豊臣秀吉。羽=丹羽、柴=柴田 から取りましたと本人は言っている。とにかく人に好かれる天才で、頭も切れるし家臣も優秀。天下を統一するが、晩年はいまいちで、朝鮮に出兵するという愚行をおかす。大阪城で孤独な死を迎える描写をされることが多い。

◆丹羽長秀(小日向文世)・・・織田家の家臣だが、信長が死んでからは秀吉につく。丹羽家は江戸時代も大名として存続し、明治時代に至る。

◆池田恒與(佐藤浩市)・・・信長と乳母が同じなので信長の友達。信長の後継者候補だったが、結局秀吉に従う。秀吉VS家康の戦いで戦死。

◆織田信雄(妻夫木聡)・・・アホ扱いされることが多いが、織田家の名前を現代まで存続させたすごい人。江戸時代は2万石という貧乏大名だったが、織田家の子孫ということでかなり大事に扱われていたらしい。フィギュアスケートの織田信成選手の直接のご先祖。

◆前田利家(浅野忠信)・・・最初は勝家につくが、その後秀吉に味方する。秀吉が死んだときには徳川家康と同じくらいの権力を持っていたほどの大物。

◆黒田官兵衛(寺島進)・・・来年の大河ドラマの主人公。秀吉の参謀として有名。あまりにも優秀すぎたせいで秀吉に警戒され、秀吉が天下を取った後もあまりご褒美がもらえなかった。秀吉死後のどさくさに天下を取ろうと活動するが、断念。

◆前田玄以(でんでん)・・・坊さん。秀吉派で秀吉が天下を取った後は重要ポストを任される。秀吉死後は徳川家康と対立し、負けて死亡。

◆堀秀政松山(ケンイチ)・・・信長の側近で超エリート。信長死後は秀吉に従う。秀吉からもかなり大事にされていたらしい。

◆織田三十郎信包(伊勢谷友介)・・・信長の息子。けっこう優秀だったらしい。

◆お市様(鈴木京香)・・・信長の妹。死ぬほど美人だったせいで、政略結婚の犠牲に。

◆寧(中谷美紀)・・・秀吉の奥さん。良妻の代表みたいな人。徳川家が豊臣家を滅ぼした後も生きていた。全国の武士から尊敬され、徳川家からも大事にされた。残念ながら秀吉との間に子どもはできなかった。

◆松姫(剛力彩芽)・・・よく知りません^^;

◆織田信孝(坂東巳之助)・・・信長の息子。戦いは強かったらしいが乱暴者で評判は良くなかったらしい。秀吉に負けて自殺する。

◆滝川一益(阿南健治)・・・織田家の家臣。関東地方攻略を任されていたがズタボロに負けて、ショックで病死。

◆佐々成政(市川しんぺー)・・・織田家家臣、後に柴田勝家につくが秀吉に降伏。高い能力を見込まれ肥後(熊本)1国を任されるが、統治に失敗し、責任をとって切腹。

◆森蘭丸(染谷将太)・・・男だけど超美形。信長のボディーガード&夜のお相手。

◆織田信長(篠井英介)・・・いわずとしれた織田信長。



◆なか(戸田恵子)・・・秀吉のお母さん。なかなかの肝っ玉。

◆小一郎(梶原善)・・・秀吉の弟。この人がいなかったら秀吉が天下を取るのは不可能だったというくらい優秀。実際小一郎が死んでから秀吉がもうろくし始めた。

◆小袖(瀬戸カトリーヌ)・・・わかりません。

◆義兵衛(近藤芳正)・・・わかりません。

◆明智光秀(浅野和之)・・・信長を殺して天下をとれると思いきや、意外とみんな味方してくれなかった悲劇の人。秀吉に敗北して死んだが、実は生きてて家康の家来になったという説も。

◆織田信忠(中村勘九郎)・・・信長の長男でかなり優秀だったが、信長と同じタイミングで明智光秀に殺される。この人が生きてたら文句なしに信長の後継者なので、清須会議もなかったでしょう。

◆枝毛(天海祐希)・・・わかりません。

◆更科六兵衛(西田敏行)・・・小田原の大名 北条氏直の重臣。三谷映画「すてきな金縛り」のキーマン。

テラスハウス まいまいの性格がヤバいことが11月4日放送で判明

テラスハウスの新メンバーとして加入した「まいまい」こと永谷真絵さん。


実は永谷園の創業家のお嬢様というぶっとんだ経歴を持つところから始まり、いまやテラスハウスの話題はまいまい一色ですね。


テラスハウスに加入して早々に哲ちゃん狙いということを明言したまいまい。



哲ちゃんもこのことを知り、まんざらでもない様子。



ついに哲ちゃんの恋が実るのか!?という期待していた方も多いでしょう。



しかし、どうもまいまいは一筋縄ではいかない性格であることが判明。




11月4日の放送でまいまいの性格がかなりヤバいのではといところが垣間見えました。





雲行きが怪しくなりだしたのは、哲ちゃんとまいまいの初デート。



「哲ちゃんはモテる感じがして・・・」と、なんか哲ちゃんへの気持ちが冷めてきてるまいまい。



そんなまいまいはイケメン洋介さんにシフトチェンジ!



まいまいは洋介さんにジャケットの写真を撮ってほしいとか、メロメロに・・・。




まいまいの豹変ぶりにただただ翻弄される哲ちゃんは、美和子ちゃんに相談します。


美和子ちゃんの返答は「相手の気持ち気にし過ぎはかっこ悪い!」


おっしゃる通り。






さて、まいまいですが、洋介さん・梨奈さんと三角関係突入の兆しありです。



いろいろあった洋介さんと梨奈さんですが、なんでもライブで共演するんだそうで、いい感じです。




そんな2人がギターの練習をしていると、なんとまいまいが乱入。



しかも途中から参加したにも関わらず、まいまいが主メロをとってしまったのです。




梨奈さんが主メロを歌っていたところに、大きな声で割って入って行ったので、これはもう宣戦布告!?



それとも「私が常に一番よ!」という永谷園のお嬢様気質が出てしまったのでしょうか?



テラスハウスに来た時は自分の経歴がやだとか言ってたのに~。




しかし、まいまいはお嬢様なのが嫌だと言ってた割に、恰好がお嬢様から抜けられてないような・・・。



お嬢様キャラが嫌だったら、もっと庶民(笑)ぽい恰好すればいいのに・・・。



と、世間にあわせてまいまい批判する私^^:



そんなこんなで、世間のまいまいの評価が急降下しています!




まいまいの梨奈さんへの攻勢は続き、

「同じような人(=アーティスト)が入ってきてどう思った?わたしなら嫌だけど」

という主旨の発言をしたりしています。




さてさてまいまいと梨奈さんどうなるんでしょう?



ドロドロ展開期待!?

ガキの使い 笑ってはいけない 2014 修道院

気が付くと2013年も残り2か月。


速いものでそろそろ大晦日が近づいてきました。





大晦日といえば毎年恒例の「ガキの使い 笑ってはいけない〇〇」ですが、2014年(2013年大晦日)の舞台はどこなんでしょうか?





ネット上の噂では修道院が舞台では?と言われています。








ちなみに昨年(2012年大晦日)・・・熱血教師





一昨年(2011年大晦日)・・・空港






3年前(2010年大晦日)・・・スパイ


となっています。





空港編は茨城空港が舞台でしたね。





修道院以外のネット上での予想は以下の通り


駅員

自衛隊

探偵

消防士

銀行員


などなど。



「探偵」は逗子ストーカー事件での個人情報の不正取得問題で探偵業者が逮捕されていますので、候補から除外してもいいでしょう。



次に銀行員。



これは「半沢直樹」ブームからの予測でしょう。


いろいろとネタを仕掛ける場面はありそうですから面白そうですね。



北大路欣也さんとか出てくるのかな。



駅員・・・JR北海道の問題が噴出しているのでどうかな?(考えすぎでしょうか)




個人的には銀行でやってほしいかなと思います。

プロ野球 トライアウト 2013 参加選手

今年もプロ野球12球団合同トライアウトの時期になりました。


トライアウトの概要は以下の通り

会場:静岡県草薙総合運動場硬式野球場(県営草薙球場)
住所;静岡市駿河区栗原19-1
開催日時:11月10日
 ウォーミングアップ・シートノック・ブルペン:10:00~10:30
 シート打撃:10:30~
入場料:無料

雨天時は屋内運動場で実施され、入場はできません。

静岡市ホームページでも大々的に紹介されています。
http://www.city.shizuoka.jp/deps/chiiki/toraiauto1.html


今年は初めて12球団の本拠地以外で開催されるのですが、その会場が草薙球場とは!


草薙球場といえば、1934年に行われた日米野球。


日米野球ベーブルース、ルー・ゲーリック擁するアメリカチームに対し、沢村栄治投手が9回を投げ9奪三振(1失点)の快投を見せた試合の舞台となったのが草薙球場です。


1934年の日米野球は16試合が開催され、日本は16連敗を喫しています。


そう考えると、沢村投手の快投が日本人として如何にすごいものだったかがわかりますね。


ちなみに沢村投手はこの試合以外に4試合アメリカ相手に投げているんですが、滅多打ちに遭っているという事実はあまり知られていません^^


話がそれましたが、そんな草薙球場で行われるトライアウト。



気になる出場選手の一覧はこちらです!

http://www.kusanagi-sportspark.jp/data/topics/f138389949600.pdf


有名どころは

巨人 谷選手

巨人・ヤクルトで活躍した木田優男投手(45歳!)

楽天 加藤投手

日ハム→ヤクルト 正田投手

楽天 高須選手

阪神 浅井選手

阪神 林選手(台湾代表)


などなど。


個人的には私の地元茨城県出身の鴨志田貴司投手に頑張ってもらいたいですね!


鴨志田投手は2001年にドラフト3巡目で巨人に入団。

2002年に消化試合ながら初セーブを挙げ順調なプロ生活。

しかし2003年中継ぎとして期待され登板機会が増えますが、横浜戦で細山田選手にサヨナラ満塁ホームランを打たれるという失態。


その後オリックスに移籍し、サイドスローに転向。

中継ぎとして2010年にブレイクの兆しをみせます。




そして2013年にはプロ12年目での初勝利という快挙!

・・・そのまま戦力外と相成りました。



トライアウトでは細山田選手との因縁の対決が実現されるか(私だけに)注目されています。



この季節になると、プロ野球選手じゃなくてよかったーと思うのは私だけでしょうかね。

花田虎上 嫁 フードコーディネーター

「花田虎上さんの嫁」の花田倉実さんがフードコーディネーター?ということで検索数があがっているようです。


花田虎上(はなだまさる)さんとは、言わずと知れた元横綱・若乃花です。



昔は花田勝でしたが、花田虎上に改名しました。



虎上を「まさる」とはなかなか読めないから、これはキラキラネームの一派かな?




そんな「お兄ちゃん」の花田虎上さんの嫁についてですが、現在のお嫁さんの倉実さんは2人目の奥さんです。



最初の奥さんの美恵子さんとは2007年に離婚。


倉実さんとは2008年に結婚しています。


こちらが倉美さん

花田倉美.jpg



花田倉実さんは元保育士でフードコーディネーターなんだそうです。


奥さんとしては申し分ないですね。



ちなみにWikipediaによると、フードコーディネーターとは、

「フードコーディネーターは、食ビジネスの全般にわたるデザイン、演出を行う仕事で、食環境、食文化を始めとして、調理や栄養などの専門的知識をもっていることを求められる専門職である」

だそうです。



ちなみに花田虎上さんには前妻の美恵子さんとの間に4人の子供がいます。



倉実さんとの間には女の子が一人。


5人の子持ちなんですね。



相撲・アメフト・ちゃんこ屋経営・会社経営などなど、多彩な経歴を持つ花田虎上さん。



しかしなぜかプラスのイメージが少ないのは、やっぱり兄弟の不仲とか離婚とかが影響しているんでしょうかね。



ちなみに勝→虎上への改名は、風水的な視点から行われたようです。



風水はなかなか侮れませんからね。



しんのすけがいない夏。

青年は使い古された座布団の上に正座している。
おろしたてのスーツに身を包み、お茶を出すというその家の母親の申し出を丁寧に断り、
夫婦が寝室として使っている部屋の一角に置かれた仏壇をじっと見つめていた。
ひざの上に置いた拳を軽く握り締めると、風間は口を開いた。


「しんのすけ、僕たちはこの春から大学生になるんだ。もう車の免許だって取れちゃうんだぜ」


彼の口調は幼稚園の時とほとんど変わっていない。
ただ少し、お高いプライドを振りかざすようなとげのある喋り方ではなくなった。ホンの少しだけだが。


「ボーちゃんは北海道の大学で農業を勉強するんだ。"これからの時代は農業がくる"んだって。
 ネネちゃんは服飾の専門学校。まさお君は一浪してなんとか国立大学に入るってさ」


仏壇に置いてある写真の中で彼は屈託のない笑顔をしている。
僕達はこれからもずっと一緒にいるんだろうなぁと信じて疑わなかった頃の写真だ、と見る度に風間は思う。


「僕は東京の一流大学さ。……推薦では落ちたけど、まぁ普通に受験しても僕の頭じゃ受かるんだけどね。だからな、東京の大学に行くから、僕引っ越すんだ。東京で一人暮らしだよ。お金はママが仕送りしてくれるからいいんだけど、ここに来られるのは夏休みと冬休み、それと春休みぐらいしかないんだ」



風間は月に一度、必ずここに来ていた。
話す内容は松坂先生はまだ結婚できないとか、まさお君のドジ話などの他愛もない話。
しかし欠かすことなく、月に一度は絶対に仏壇の前で手を合わせ、話をしているのだった。
あの日から、ずっと。


「だから次来る時は七月位になるのかな? 今度来た時、東京で洗練された僕のカッコ良さに腰抜かすなよ?」


わかってはいるが、返事はない。


「じゃあな、しんのすけ。お土産は買ってきてやるから心配するなよ」


風間は立ち上がり、みさえに一礼して家を出た。


今年は春の訪れが遅い。
春一番はとっくに吹いたのだが、それから温かくなることもなく桜はつぼみを半分もつけていない。
風間はママに買ってもらったお気に入りのコートの襟をぐいと引き締め、歩き出した。
生垣の隙間からは去年死んだシロのお墓が寂しく見える。
幼い頃あれだけ広いと思っていた道路だが、車が一台通るだけで路肩に身を寄せなければならないほど実は狭く、三輪車で走っていた頃はよく事故に遭わなかったな、と風間は思う。



帰る途中にある公園はその装いをほとんど変えていない。
数年前に小学生が時計に石を投げて壊してしまい、時計が新しくなったこと以外変わってはいなかった。
公園は変わっていないがそこで遊ぶ子供の姿をあまり見かけなくなった。
季節が季節なのだが、それでも少ない。


ふと前を見ると制服を着た女の子が二人、なにやら怯えているようだった。



「うへへへへ~」


女の子の前に男が立っていた。
雑に禿げた頭に汚れたジャンパー、寒気がするような笑みを浮かべながら女の子達ににじり寄っている。
時折変質者が出没するなんて話を聞いたなぁ、と風間は思った。
男と女の子達の距離は徐々に縮まっている。
悠長にそんなこと思っている場合ではない、風間は男に向かって駆け出した。


「おい! そこの――」

「ゆうちゃーん! あっちゃーん! 待ってぇ~!」


意を決した風間の声よりも大きな声がした。
道の向こうから走ってくる女の子が一人。
くせっ毛の前髪をモフモフ揺らし、オレンジのマフラーをなびかせながら再び友人達の名前を叫んでやってきたのは、ひまわりだった。


「もぉ、トイレ行くから待っててって言ったじゃんか~」
「だってひまわりトイレ終わったらなんか変な歌歌って踊ってたんだもん」
「そうだよ。また長くなりそうだったから先帰っちゃおうと思って……」


友人達の言い訳にひまわりは膨らませた頬を緩めない。
あれはトイレから出てきた時リクエストされたのだ、とひまわり。
もうそんなことにイチイチ応えなくてもいいんだよ~、と友人二人。


盛り上がる女の子達に取り残された風間と、変質者。



「ところでおじさん誰?」


ひまわりにいきなり話を振られ一瞬戸惑った変質者だが、再び気味の悪い笑みを浮かべる。
怖気立つ友人達の前でひまわりは仁王立ちして男を睨んだ。


「まさかおじさん……あっちゃんのお父さん?」

「んなわけないでしょ!」


友人の一人、あっちゃんが叫んだ。
ゆうちゃんは、またいつもの調子か、と溜め息をついている。


「じゃあ血は繋がってないけどパパって呼んでる人?」
「違ーう! 私とこいつは全く関係ないの!」
「んもう照れちゃって~」
「照れてないぃ!」


風間の中で何かがじわりと滲んできた。
あっちゃんという子に共感し、共鳴したせいだった。

「お姉ちゃん達かわいいね~。おじさんと一緒に遊ぼうよ~」
「え~でもアタシこれから帰ってテレビ見ないといけないし~」
「ひまちゃんそんな真面目に答えなくていいの! こいつ最近噂の変質者だよ!」
「うへへへ~」



男は両手を広げて襲い掛かってきた。
泣きそうになってしゃがみこむ友人達を背中にひまわりは何かの構えをとる。
気合を入れて短く叫ぶと、男の動きが一瞬止まった。
ひまわりは流れるような動きで後ろを向くと思いきり男に向かって飛んだ。


「アクションヒップアターークッ!」
「うがっ!」


突き出したお尻が男の腹部に当たり、男は吹っ飛び倒れた。
男の目は一瞬にして恐怖に満ちあふれ、情けない声をあげながら走り去っていった。
それを見てひまわりは右手をななめに上げ左手を腰に置くと、右手の手先を見るように首を回して笑った。


「ワーハッハッハッハッハッハッハッ!」


風間は立ちすくんでいた。
ひまわりの笑い声に幼い男の子の声が重なって聞こえたからだった。


ひまわりは腰を抜かした友人を立たせると髪を撫でながら言った。


「んもう情けないよ、貧乳戦隊の一員なのにさぁ」
「そんなものに入った覚えはないぃ! ……でもありがとう、ひまちゃん」
「いいのいいの」


その後一、二分話した後ひまわりと友人達は別れた。
そして呆然と立っている風間にひまわりは気付いたのだった。





「まさか風間さんに見られてたなんて……」
「いやぁ僕もたまたま見てただけだから……それよりすごかったよ」


公園のベンチに座る風間とひまわり。
すぐ近くにある自動販売機で買ってきたホットココアを二人で飲んでいる。
公園には他に犬の散歩できていたおばさんが一人いるだけだった。


「あれは、テレビの真似しただけですから」
「でも友達を助けるなんてカッコイイじゃないか」
「そんなんでもないです……」


ひまわりは謙遜の色で滲み出る嬉しさを濁そうとしているが、全く効果が見えない。
風間やボーちゃんたちと話す時、ひまわりは態度が縮こまる。


「それより風間さんもあんな所で何を?」
「あぁいや、君の家から帰ってくる途中だったんだ」
「あっ……」
「もう東京に行かなきゃいけないから、その挨拶をさ」


ひまわりは両手で持ったココアを一口飲むと、マフラーに顔を埋めた。
マフラーに埋まりきらなかった目元を見て、おばさんよりしんのすけに似てるな、と風間は思った。





「風間さん達が覚えてるお兄ちゃんの姿って、どんな感じだったんですか?」


マフラーのせいで声が篭ってはいたが、風間にははっきりと聞こえた。
風間はココアを飲んで返答を遅らせると、ひまわりは言った。


「アタシ、お兄ちゃんの記憶がほとんどないんです。ほとんどっていうか、全く……」
「まぁ、君は小さかったからね……」
「でもなんとなく、楽しかったことだけは覚えてるんです。っていうか、楽しかったんだろうなぁとは思うんです」


ひまわりは空を見上げ、薄っすら微笑んだ。
小さな雲が一つだけ浮かぶ空は抜けるような青空だった。


「しんのすけは……君のお兄さんはひまわりちゃんのこと大好きだったと思うよ」
「……ハイ」


もしかしたら今の言葉は酷だったかもしれないと風間は思った。
それでもひまわりの顔から笑みは消えていなかったので、風間は安堵してココアの缶に口をつけた。





十三年前。
この公園の少し先の場所であの事件は起こった。






「かすかべ防衛隊~……ファイヤー!」
「「「「ファイヤー!!!!」」」」

しんのすけを先頭に歩く幼稚園児五人。公園を出て向かうは風間の住むマンション。
梅雨も明けこれから本格的な夏の到来を予感させる、空の高い日曜日。
遠くの陽炎に揺らめく見慣れたお尻。


「あっ、母ちゃん!」


しんのすけが走り出すと後ろの四人も遅れまいと走り出す。
最下位はいつもトロいボーちゃんではなく、おむすびよろしくスッテンコロリンと転んだまさお君だった。
公園でリアル鬼ごっこをしてあれほど走ったのにもかかわらず、しんのすけは息を切らすこともなく
ベビーカーを押すみさえの所までたどり着いた。


「母ちゃん母ちゃん!」
「あらしんちゃん、あっみんなお揃いねぇ」
「オバサンこんにちわ~」
「今日はお暑いですねおばさん」
「こ~ん~に~ち~わ~、おばさ~ん」



着いた順に挨拶をするが、しんのすけはなにやらニヤついている。


「母ちゃん、おばさんおばさん言われまくってるゾ」
「ハァハァ……あっ、コンニ――」
「うるさい~!」


やっとついたまさお君の挨拶はみさえの怒りによってかき消されてしまった。
自分のことを言っていると勘違いしたまさお君は涙ぐんだがみさえはすぐにごめんねと謝り、これだから母ちゃんは~、と
しんのすけが口をはさむとゲンコツが一発しんのすけの頭に降ってきたのだった。




「これからみんなでどこ行くの?」
「今から風間君のお家でビデオ見るんだゾ。この前の豚足のビデオだゾ」
「豚足ぅ?」
「それを言うなら遠足だろ」



風間の訂正に、そうとも言う、としんのすけはいつもの調子で答える。
みさえと風間の苦笑いがシンクロした。


「母ちゃんはどこ行くの?」
「ひまわりと一緒にお買い物に行くの」
「ほぉほぉ。んじゃチョコビ買ってきてね」
「はいはい……あっホラみんな、車来たわよ」
「「「「「は~い」」」」」


遠くからでも聞こえるバイクの爆音に気付き、みさえはしんのすけ達を一列に並ばせた。
片手を挙げてそれに応じる園児達。


「あぅ~ぁ~う~」
「どうしたひまわり?」



手足をバタつかせて喘ぐひまわりの前にしんのすけはまわりこんだ。
白い柔肌に手を伸ばし、しんのすけはひまわりの頬を伸ばしこねる。
えへへ~、としんのすけ。あうぁ~、とひまわり。





「こ~らやめなさいしんのすけ! ひまがかわいそ――」

みさえの言葉が遮られるほどのバイク音が迫ってくる。
風間達の視線はバイクに注がれ、みさえも耳を劈く音に顔をしかめながら振り向く。
フルフェイスのヘルメットをかぶったバイクが轟音とともに近づいてくる。



「おぉ!」



ひまわりで遊んでいたしんのすけも異変に気付いた。
みさえも風間もボーちゃんまで手で耳を塞ぐほどの音にしんのすけも耳を塞ごうと思ったが、
目の前には今にも不安で泣き出しそうなひまわりがいた。



「泣いちゃダメだぞひまわり」


しんのすけの独り言は眼前のひまわりにも聞こえない。
自分の耳に当てようとしていた両手をひまわりの耳に当て、しんのすけは歯を食いしばった。
しんのすけは目を思い切りつぶる。
意味はないがとにかくこの爆音に耐えなければならない。



「う~~~~~」


自分が唸る音も聞こえない。
爆音を轟かせたバイクはもう既に列最後方のまさお君の真横にまで来ていた。
巻き上げられる風が熱い。

そのままバイクは通り過ぎていった。



「もう、全くなんなのよあのバイクぅ!」



ネネちゃんが両手を腰に当てて頬を膨らませた。
黒い排気を上げるバイクは何事もないように小さくなっていく。
耐えることに力みすぎてひまわりの顔を挟みつぶさんとばかりに両手で挟んでいたしんのすけは、
バイクが通り過ぎた後も唸りながらひまわりの耳を押さえている。



「う~~~」



全員の視線が爆音のバイクを追っている。
それこそがバイクの狙いだと気付かずに。


先に通ったバイクと同じ排気量にもかかわらず、それは氷上を滑っているかのような静けさで近づいていた。
あのバイクが獣なら、このバイクは忍者だった。
忍者を操るフルフェイスヘルメットの男の手がハンドルを離れ、外へと伸びていく。
その手はまさお君、ボーちゃん、ネネちゃん、風間君の頭の上を飛び、みさえに向かっていた。
正確にいえば、みさえのハンドバッグに。



黒い皮手袋をした手がみさえのハンドバッグを掴んだ。
刹那、みさえが振り返る。
何が起こっているのかを認識する前に強引にバッグを奪われ、みさえが叫ぶ。



「キャーーーーー!」



みさえの腕をするりと抜けたハンドバッグがベビーカーのハンドルに当たった。
それでも男はハンドバッグを引っ張るようにして腕を引いたので、ベビーカーを思い切り押す形になってしまった。
急発進を強制されたベビーカーの前輪は少し浮き、とんでもないスピードで走り出した。



「おおぉ!!!」
「あ~ぅぅぅ!!!」


しんのすけとひまわりが同時に叫ぶ。
少し遅れてみさえが叫んだ。
しかし、手の届く範囲はとうに超えていた。


「うっほほ~い! 面白~い!」
「あ~ぃ!」



当の本人達はいたって不真面目に面白がっていた。
ベビーカーのスピードは緩まることなく走り続けている。



風間の胸中に、不安を纏った焦燥感が生まれ始めていた。



「待てー! しんちゃーん! ひまー!」


みさえは駆け出していた。
遅れてかすかべ防衛隊のメンバーも走り出す。


「ん~はや~いぃぃ! いくぞひまわりぃ!」
「う~ぉぃ!」


ガラガラと音を立てて爆走するベビーカー。
駆け抜ける風をしんのすけは後頭部に、すり抜けるカゼをひまわりは顔面に受けて走っている。
偶然通りかかった隣のオバサンの横をベビーカーが通り過ぎていく。

オバサンはベビーカー、遠くに見えるみさえ、ベビーカーの順に見直し、叫んだ。
そんなオバサンの珍態をしんのすけが見つける。


「お!?」


次の瞬間、なけなしのバランスが崩れた。
しんのすけとひまわりはベビーカーから放り出されてしまった。



空中で笑うひまわり。
さすがに危ない状況だと判断したしんのすけ。


「ひまわり! あぶない!」


器用に空中で体勢を変え、ひまわりを抱きかかえるしんのすけ。
重力が二人を引っ張る。
地面が二人を乱暴に抱きとめる。


しんのすけが下になり着地した道路の上。
ひまわりはキャッキャキャッキャとはしゃぎ、しんのすけは背中の激痛にもだえている。
みさえは二人の姿が見えるところまで来ていた。


「しんのすけー! ひまわりー! 大丈夫!?」


ひまわりもみさえを見つけ無邪気に手を振っている。
そんなひまわりを恨めしそうに、しかし、安堵を浮かべて見るしんのすけ。


しかし何故だろう。
風間の胸中でうごめく不安が消えないのは……。







半ズボンについた砂を払いながら立ち上がるしんのすけ。
そんなしんのすけやひまわりの姿を見てみさえは自然と笑顔になった。


「おぉ!」



ひまわりが声をあげた。
視線の先にはベビーカーの中で静かにしているようみさえがひまわりに与えた金のネックレスが落ちていた。
頂上を少し過ぎた太陽がそれを照らし、ネックレスとひまわりの心を輝かせる。



「テッテッテッテッテッテッテッテッ!」
「あっ! ひまわりぃ!」


ひまわりは頬を赤らめ高速ハイハイでネックレスの元へ向かった。
も~しょうがないなぁ、としんのすけが両手を腰に当てて溜め息をつき、太い眉毛を八の字に顰める。


最後尾でモタモタ走っているまさお君が、待ってよぉ~みんなぁ~、といいながら懸命に走っている。
しんのすけ達の様子を見て風間はもうさすがに大丈夫だろうと思い、その場に止まってまさお君が来るのを待った。
まだ嫌な予感がするのだって今回はひまわりちゃんがいたからいつもより余計に心配してしまっただけであって
それがまだ尾を引いているだけなんだ、と風間は思った。

まさお君が風間に追いつく。
ありがとう、とまさお君。うん、と風間。


十字路の中心でひまわりを待つ金のネックレス。



「テッテッテッテッテッテッ!」
「ひまわりぃ、そんな所に行っちゃだめだゾ~」


しんのすけは小さな黄色い背中を追いかけた。
黄色い車は彼氏との待ち合わせ時間を追いかけた。

ひまわりはネックレスの元へとつくとそれを手に取り、えへへぇ~へぇ~、とだらしなく笑う。
時間と彼氏との甘い夜しか見えていない女は更にアクセルを踏み込む。
その音がしんのすけの耳に届いた瞬間、しんのすけは視界の端で黄色のバケモノがひまわりを食おうと突進してくるのが見えた。



「ひまわりいいいぃぃぃ!!!」


両手両足に力がこもる。
蹴り出すつま先が怒号を上げる。
運転手の女は悲鳴を上げ、混乱が更にアクセルを踏ませる。
風がしんのすけを援護する。
早く。速く。ひたすら、はやく。
もう一度妹の名前を叫び、全力で駆ける。
ひまわりが笑っている。



しんのすけは、跳んだ。













『父ちゃん! オラ将来アクション仮面みたいな正義のヒーローになるぞ! 悪い奴をバンバンやっつけるんだゾ!』

『じゃあしんのすけ、お前はなんでその悪い奴をやっつけるんだ?』

『そんなの悪い奴だからに決まってるゾ父ちゃん!』

『ハハハたしかにそうだ。でもなしんのすけ、悪い奴には友達も家族もいるかもしれないんだぞ? その悪い奴がやられたらその友達や家族は悲しむんじゃないかな?』

『ん~……でもそいつらも悪い奴等だから……う~ん……』

『いいかしんのすけ。正義のヒーローっていうのは悪い奴をやっつけるから正義のヒーローなんじゃないんだ』

『何言ってるんだ父ちゃん?』

『悪を倒すのがヒーローじゃない。弱いものや守りたいものを守るからヒーローなんだ。わかるか?』

『ん~わかったような……わからないような……』

『わはははは……ま、今のしんのすけにはわからなくても無理ないか』

『オラを子ども扱いするなんてひどいゾ父ちゃん!』

『お前は正真正銘子供だろ~。……とにかく、しんのすけ。正義のヒーローになるなら良い事いっぱいしないとな』

『おぉ! オラ頑張るゾ!』

『しんのすけ、正義のヒーローになれたら普通の人じゃできないことが一つ、できるようになるんだぞ。知ってるか?』


『もしお前が正義のヒーローになれたら、その時はな――』



















『空を、飛べるんだ』

















「ひまわりいいいぃぃぃいぃぃぃ!!!」


全てがゆっくりと。ゆっくりと進む。
みさえも、風間も、ボーちゃんも、ネネちゃんも、まさお君も、誰もまだわかっていない。
しんのすけだけが、ひまわりを。



土の付いた両足で蹴り出された小さな体。
ピンと伸びた両腕はひまわりを求めている。
ひまわりを世界の中心に定めた眼が鋭く光った。
しんのすけの体が地面と平行になる。


しんのすけの両手がひまわりの背中を捕らえた。
黄色の車は既に眼前で二人の姿を飲み込もうとしている。
しんのすけは歯を食いしばって両腕に力を込めた。


――ヒーローの手からひまわりが離れた


突き飛ばされたひまわりは乱暴な前転で頭を地面に打った。
運転手の女は叫びすぎで声にならない声を出しながらハンドルを引っ張っている。
顎を引いて目を力いっぱい瞑っているしんのすけは手の感触で使命を終えたと悟った。


しんのすけは、笑った。


そして、黄色い車は飢えた野獣がエサにかぶりつくがごとくしんのすけに襲いかかったのだった。





大きな音。


電線に止まっていたすずめは反射的に飛び去り、
すぐ近くの民家で飼われている犬は塀で見えないはずの交差点に顔を向ける。
その瞬間、みさえたちはまだ笑顔だった。


ベビーカーから吹っ飛ばされたくらいだから、少し痛がっていてもすぐに治るだろう。
ひまわりは意外とあんな体験が好きだから喜んでいるかもしれない。
早くチョコビ食べないと死んじゃうぅ~、なんて駄々をこねそうなしんのすけにはゲンコツかな?
だから、まだ笑顔だった。





しんのすけは鉄の塊と衝突した後、コンクリートに叩きつけられボールのように跳ねた。
元気にしんのすけの体を走り回っていた血がその軌跡を印していく。
意思を失ったしんのすけの体は10メートルほど転がり、止まった。


頭を打った後三回転ほどして、ひまわりも止まった。
額から血が出ているが、その痛みよりも今起きたことに驚いてしまい声が出ないでいる。


車はハンドルを右に切り塀と電柱にぶつかりすぐに止まった。
女はその衝撃で出てきたエアバッグで頭を打ち、気絶した。


みさえ達は一度立ち止まった。
そしてすぐさま全力で駆け出す。


「しんのすけえええぇぇぇーーー!!!」





すぐさま救急車で運ばれ病院で手術が始まった。
連絡を受けたひろしが病院の到着した頃、みさえは話ができないほど泣き崩れていた。
ワンワン泣くまさお君にそれを泣きながら支えるネネちゃん。
両手を力いっぱいに組んでしんのすけを無事を祈るボーちゃん。
血が出るほど両手の拳を握り締め、声を殺してなく風間。


幼稚園の先生方や子供たちの両親も駆けつけてきたが、ただオロオロするばかりだった。
泣きじゃくる吉永先生を、あの子ならきっと大丈夫だから、と松坂先生は自身の不安の色も隠さず勇気づける。
手術室の灯火は夜遅くまで点いていた。


夜も遅いと子供達やその家族は帰らせじっと待っていると手術室の灯りが落ちた。
みさえも肩を持ち立ち上がるひろしと幼稚園の先生方。
手術室から医師が出てくると、マスクをはずして、言った。


「……ひとまず、一命はとりとめました」


その一言に更に涙を流すみさえ。
幼稚園の先生方は一瞬歓喜するがすぐさま静かになり、息をのむ。
ひろしが震える声で医師に聞いた。


「し、しんのすけはどうなったのでしょうか?」
「頭部の損傷がやはり一番酷く、頭蓋骨の骨折によりわずかに脳が損傷しています。しかし、後遺症はおそらくないでしょう」
「ホントですか!? ……よかったぁ」
「……しかし、気になることが一つあります」



事故から一週間。
しんのすけは目覚めなかった。


「先生! しんのすけは植物状態から目覚めないですか!?」
「そ、それはわかりません! 明日目覚めるかもしれないし、このままかもしれません」
「どうしてアンタそんなことが平気で言えるんだ! キチンと手術したのか!」
「……あなた……もうやめて」


しんのすけの植物状態は脳の損傷によるものかのかどうかは医師達にもわからなかった。
ただ言えることは、いつか目覚めるであろうということ。
そしてもう一つ。
いつ目覚めるかは、誰にもわからないということだった。


意識のないしんのすけのお見舞いは、毎日違う人達が来た。
人も違うが、人の種類自体も違った。
性別、年齢、職業、人種……たくさんの人がお見舞いに訪れた。
どういう関係なのかはみさえ達さえわからない。
しかし、これだけ様々な人達がくるのに、みんな同じことをいうのだった。


「こいつは絶対、死にはしない」




海に行って海水浴をしよう。
山に行って探検をしよう。
リアルおままごとの長編をやろう。
三輪車でとにかく遠くへ行こう。


夏休み、何をするかみんなで決めた計画だった。
毎日遊んで、とにかく遊んで、遊んで笑って。
案だけはやたらと思いつくくせにどれも実現性のないものばかりなものを言っていたあいつは、そこにはいない。
公園の滑り台で風間達四人は途方にくれていた。


しんのすけのいない夏。
しんのすけ抜きで遊ぶ時とは、全く違う。
空は空しくなるほど高く、太陽は寂しくなるほど暑かった。
忘れて遊ぶことなんてできなかった。
あいつのおふざけがないと全ての遊びが味気なく感じた。


夏はただ過ぎていった。
しんのすけは眠り続けている。
毎日看病に行くみさえは気にしていた三段腹がなくなるほどやつれた。
そんなみさえを心配するひろしも仕事が手につかなくなっていた。
幼稚園も、公園も、かすかべも、どこか穴が開いてしまったように静かだった。


ひまわりだけは、気ままに笑い、怒り、膨れ、また笑っていた。



季節は抜け落ちたように過ぎて秋になっていた。
ひろしは会社で一本の電話を受け取り、我を忘れて叫んだ。


「本当かみさえ! 本当にしんのすけの意識が戻ったんだな!?」


電話の向こうで嗚咽交じりに頷くみさえの声が聞こえる。
ひろしは取るものも取らずして会社を出た。

病室のドアを蹴破る勢いで開ける。
しんのすけのベッドの周りには医師看護婦が数人と、椅子に座りしんのすけを見つめるみさえがいた。
ひまわりはみさえの腕の中で静かに寝息を立てて眠っている。


「ヨッ!」
「……ヨッじゃねえよ……しんのすけええぇぇぇ!」


しんのすけに抱きつく寸前で医師に止められ、それでも泣き叫び鼻水を垂らすひろし。
事故があったことを感じさせないほどしんのすけはいつも通りだった。



「やはりまだ体は動かせませんね。まぁ意識が戻っただけでも奇跡的なことですし、気長に治療していきましょう」
「ハイ! ありがとうごじゃいます!」


ひろしは泣きながら医師達に頭を下げると、医師達は微笑んで病室を後にした。
個室には野原家だけとなった。


鼻をぐずらせながら微笑みしんのすけを見つめるみさえに、気持ち悪いゾ、としんのすけ。
もぅう~る~さ~い~、とみさえ。その顔に怒りは微塵も感じられない。


「父ちゃん、さっきの看護婦さんピッチピチのかわいこちゃんだったゾ」
「うんうん」


ひろしも涙を流しながら頷くだけでしんのすけはまた、気持ち悪いゾ、と言った。
ちょっとだけ噴き出すように笑った後、心配かけさせやがってぇ、とひろし。
久方ぶりの団欒。




しばらくして幼稚園のみんながやってきた。
園長はひろしと抱き合い、松坂先生は口では強がりながらも涙を流していた。


「しんちゃんよかった~!」
「し~ん~ちゃん、こ~れ、みんなで~、作っ、た」


ボーちゃんが窓際に飾られた千羽鶴を指差した。
おおぅありがとみんな~、といたって軽く、いつも通りに、感謝するしんのすけ。
まさお君は泣きすぎて何を言っているのかわからない。
そんな中、風間の表情だけが曇ってた。


「風間くん! ヨッ!」
「……ヨッじゃないだろ、しんのすけ……みんながど、どれだけ心配したかわかってるのか!」


目に涙をいっぱい溜めて、風間は叫んだ。
病室にいる全員の視線が風間に集まる。
皆一様に目を細め、それぞれの思いを噛み締める。
そんな中でもしんのすけは表情一つ変えず飄々と言った。


「オラわかんないぞ」
「お前――」
「でも――」


風間としんのすけの声がかぶった。
互いに黙り、風間が譲る。
どぞどぞお先に、としんのすけ。いいから言えよ、と風間。


「……でも、感謝はしてるゾ」




そこにいるみんなが顔を見合わせ、そして、微笑んだ。
一瞬にして和やかな雰囲気に変わった病室。


「しんちゃん、何が食べたい?」
「お?」
「何でも好きなもの食べさせてあげるわよ」
「……母ちゃんなんか怖いゾ」
「こ~らふざけるんじゃないの。で、何が食べたいの?」
「う~ん……」


しんのすけはわずかに体をモゾモゾと動かし考え始めた。
みんながその答えを待っているとひまわりが目を覚ました。
くわぁぁえぅぅぅ、と伸びながらあくびをしたひまわりを見てしんのすけが口を開いた。


「決まったゾ」
「な~に?」
「オラ、家族みんなでごはんが食べたいゾ」


みさえを含めたそこにいる全員が呆気にとられた。
いつでもしんのすけが食べられるように病室の棚の中に入れておいた特大チョコビを取り出そうとしていたひろしは
唇を噛み締め涙をこらえた後、そっと特大チョコを棚の中に戻した。


「あーチョコビ! しかもめったに買ってくれない特大チョコビィ! やっぱりオラチョコビ食べたいチョコビ食べたい……」


んもぅ、と微笑んだみさえ。
そのみさえの腕の中でしんのすけに同調するようにひまわりは喘いだ。




「ほらぁ、早く渡しなさいよ」
「ええ」


遠目で見ていた吉永先生をせっつく松永先生。
吉永先生は後ろ手に持った丸めた紙をしんのすけの前に出した。


「しんちゃん、これ、自分で渡すんでしょ?」
「なにこれぇ?」
「この前みんなで書いたでしょ。家族へのお手紙」
「ほぉほぉ。そういえばそんなものもありましたな~」


そう言ってしんのすけは受け取ろうとするが、いかんせん体が動かない。
ふるふる震えるだけのしんのすけを見て吉永先生はしんのすけの体の上に手紙を置いた。
おぉ、と言った後、ハイひまわり、と首だけ動かしてしんのすけは言った。


「ひまわりにお手紙書いたの?」
「そうだゾ」


みさえは手紙を手に取った。
ひまちゃんお兄ちゃんからお手紙ですよ~、とみさえが言うとしんのすけは顔を赤くして焦りながら言った。


「あっ! 今見ちゃダメえぇん! はずかし~いぃん!」
「……んふふ、はいはいわかりました」


みさえは丸めたまましんのすけの手紙をバッグにしまった。
その後いつもの調子でしんのすけを中心に談笑した。




日も暮れた頃、病室は再び野原家だけとなった。


頬はこけたままだが生気を取り戻したみさえ。
スーツの袖が涙と鼻水でカピカピになってしまったひろし。
ひまわりはいつの間にか眠っていた。


「母ちゃん……オラももう眠たいぞ」
「しんちゃんはたくさん寝て、早く治らないとねぇ」
「早く治るにはやっぱりチョコビが一番――」
「いいから今は寝るの。退院してからいくらでも食べさせてあげるからね」
「ホントに? うっほほ~い」


声は元気だが瞼には既に睡魔が座っている。
みさえとひろしがしんのすけの顔を覗きこむようにして見ると、しんのすけは二人の顔を交互に見てパチパチさせゆっくりと目を閉じた。
二人は顔を見合わせ微笑み、立ち上がった。
帰ろうと振り返ると、しんのすけはか細い声で言った。


「……父ちゃん……母ちゃん…………オラァ……」


その後は寝息が続いた。
二人はまた微笑み、病室を後にした。




その数時間後。
野原家の電話が鳴った。


しんのすけが息を引き取った、と。






「その手紙の話は初めて聞いたなぁ」


風間は空となったココアの缶を両手で包むようにして掴みながら言った。
アタシも母から聞きました、とひまわり。
夏の日は長いというのにもう街は暮れなずんでいる。


「その手紙、ひまわりちゃんは読んだの?」
「……はい」


風間は突然立ち上がった。
不安げに見つめるひまわりを気にすることなく、公園のゴミ箱に空き缶を投げる。
空き缶は入らなかった。
風間は鼻で笑うとゆっくりと空き缶の元へ歩いていき、拾い上げてそっとゴミ箱に捨てた。
両手をポケットに突っ込むと風間はひまわりの所へ戻った。


「僕はもう帰るよ。今日はありがとね」
「……あ、あの……手紙の中身、聞かないんですか?」


なんというかこういう所がしんのすけらしいのか、などと風間は思った。


「いいよ。その手紙、ひまわりちゃん宛てなんだろう?」
「えっ、あ……」
「なら僕が知る権利はないよ」


風間は公園の出口へ向かって歩き出した。




ひまわりは急いで空き缶を捨てた後、風間のあとを追った。
公園を出たところで再び対峙する。


「今日はありがとうございました」
「いやいや、それはこっちの台詞だよ。今日は本当にありがとね、ひまわりちゃん」


ひまわりは深々と頭を下げると、風間は軽く礼をした。
それじゃ失礼します、とひまわりは振り返り、駆け出した。


「ひまわりちゃん!」


風間は上体を少し反らしながら叫んだ。
ひまわりは急停止すると再び風間の方を向く。
風間は少し離れてしまったひまわりのためにポケットから手を出して、即席のメガホンを作った。


「ひまわりちゃん! 君はしんのすけに似てるよ!」


ハッとした表情のひまわりに少し笑って、風間は続けた。


「いつだって大切なものは何かをわかってるところなんか、そっくりさ!!」




ひまわりは走って家に帰った。
シロの墓に簡単に手を合わせて、家に入る。


「おかえり~」
「ただいまでしょ。夕飯できてるから早く準備しなさいよ~」
「はーい」


ひまわりはそう言ってカバンを玄関に放ると二階へ駆け上がった。
コラー手洗いうがいしなさい、というみさえの声は聞こえているが、それでも階段を上った。
小学四年生になった時にもらった自分の部屋に入ると、脇目もふらず机の引き出しを開けた。
透明なビニールで包装されたそれを取り出し、引き出しを閉める。
部屋の中心でそれを掲げてひまわりはポツリと言った。


「お兄ちゃん」


写真で見たしんのすけの姿をそれに重ね合わせると、それの輪郭が少しぼやけた。
帰り際に風間に言われたことを思い出し、鼻をすすった。


「アタシとおにいちゃん、似てるんだってさ。風間さんが言ってたよ」


ひまわりはそれに書かれた汚い字を眺めて、笑った。
ビニールに入ったしんのすけからの手紙を抱きしめて、涙がこぼれた。







のはらひまわりえ


ひまわりはオラのいもおとだゾ
たまにちょっとしつこいこともあるけどひまわりはオラのいもおとだゾ

ひまわりはかあちゃんみたいにさんだんばらになったりこじわをかくすためにあつげしょうしたり
おけつはでかいのにおむねはちっちゃいなんてことになっちゃダメだゾ
でもかあちゃんみたいにオラたちのためをおもってちゃんとおこったりいっしょにおふざけしたり
なんだかんだいってもとおちゃんのことをすきでいなくちゃダメだゾ

ひまわりはとおちゃんみたいにあしがすごくくさくなったりおひげがはえたり
いえでごろごろしてなにもしなくなっちゃダメだゾ
でもとおちゃんみたいにかぞくをなにがなんでもまもったりかあちゃんにないしょでおかしかってくれたり
なんだかんだいってもかあちゃんのことすきでいなくちゃダメだゾ

ひまわりはシロみたいにしろくでふわふわしてなくちゃダメだゾ
ひまわりはオラみたいにかっこよくてかわいくててんさいでなくちゃダメだゾ
ひまわりはオラみたいにいつもわらってなくちゃダメだゾ
ひまわりはおはなのひまわりみたいにいつもおげんきでいなくちゃダメだゾ
いつもワーッハッハッハッハッハッハッハッってわらってなくちゃダメだゾ

でもひまわりはやっぱりひまわりのままでいいんだゾ



                                      のはらしんのすけ





 完

ディズニーにまつわる感動話

ディズニーランドのキャストと、ある父子のお話です。




「サイン帳の落とし物はないですか??」


インフォメーションセンターに
ひとりのお父さんが元気なく入ってきました。


落としたサイン帳の中身を聴くと、
息子さんがミッキーやミニーに一生懸命に集めた
サインがあともう少しでサイン帳一杯になるところだったそうです。


でも、残念ながらインフォメーションセンターには、
サイン帳は届けられていませんでした。・・・・・



キャストはサイン帳の特徴を詳しく聴いて、
あちこちのキャストに連絡を取ってみました。



しかし、見かけたキャストは誰一人としていませんでした。



「お客様、申し訳ございません。
 まだ見つからないようです。
 お客様はいつまで滞在されていますか??」



と伺ったところ、お父さんが言うには、2日後のお昼には帰らなければならないとのこと



「「手分けして探しますので、2日後、お帰りになる前に
もう一度インフォメーションセンターに立ち寄っていただけますか??」


と笑顔で声をかけたそうです。




そして、お父さんが帰られた後も、
細かな部署に電話をかけて聴いてみたり、
自分の足で探しにも行ったそうです。



ところが、どうしても見つけ出すことができず、
約束の2日後を迎えてしまいました。



「見つけることができませんでした。申し訳ございません」


謝るキャスト。

しかしキャストはこう続けました。


「代わりにこちらのサイン帳をお持ちください」


それは、その落としたサイン帳と全く同じサイン帳を
自分で買って、いろんな部署を回って、全てのキャラクターの
サインを書いてもらったものでした。



お父さんがビックリして、喜ばれたのは言うまでもありません。



後日、ディズニーランドにこのお父さんから、一通のお手紙が届きました。





「先日は「サイン帳」の件、ありがとうございました。
実は連れていた息子は脳腫瘍で、「いつ死んでしまうか分からない」
…そんな状態のときでした。



息子は物心ついたときから、テレビを見ては、


「パパ、ディズニーランドに連れて行ってね」

「ディズニーランドに行こうね」



と毎日のように言っていました。

「もしかしたら、約束を果たせないかもしれない」
…そんなときでした。


「どうしても息子をディズニーランドに連れていってあげたい」
と思い、命があと数日で終わってしまうかもしれないときに、
無理を承知で、息子をディズニーランドへ連れて行きました。



その息子が夢にまで見ていた
大切な「サイン帳」を落としてしまったのです。



あのご用意いただいたサイン帳を息子に渡すと、
「パパ、あったんだね!パパ、ありがとう!」
と言って大喜びしました。


そう言いながら息子は数日前に、息を引き取りました。



死ぬ直前まで息子はそのサイン帳を眺めては、



「パパ、ディズニーランド楽しかったね!ありがとう!
 また行こうね」

と言いながら、サイン帳を胸に抱えたまま、
永遠の眠りにつきました。




もし、あなたがあの時、
あのサイン帳を用意してくださらなかったら、
息子はこんなにも安らかな眠りにつけなかったと思います。



私は息子は「ディズニーランドの星」になったと思っています。



あなたのおかげです。
本当にありがとうございました。



…手紙を読んだキャストは、その場で泣き崩れたそうです。

もちろん、その男の子が亡くなった悲しみもあったと思いますが、



「あの時に精一杯のことをしておいて、本当に良かった」


という安堵の涙だったのではないでしょうか。




人間関係が劇的に変わる?人間関係マトリックスとは?

人間関係で悩んでいる方、多いです。


ある説では人間関係の悩みが無くなれば、人間の悩みの8割は無くなるなんて話も。




どうやったら自分の周りの人と上手く関係を築けるのか。




そのヒントとなれば幸いなお話です。





今回紹介するのは「人間関係マトリックス」というものです。



「人間関係マトリックス」は、人のタイプを4つのタイプに分ける考え方です。




4つのタイプとは、


①ポジティブ自立

②ポジティブ依存

③ネガティブ自立

④ネガティブ依存


この4つになります。




これだけでは訳が分からないので、各タイプの特徴を書いていきます。





①ポジティブ自立

リーダー、社長タイプ。常にエネルギッシュで、常に前向きな思考。

問題を抱えている人を見ると面倒を見たがる。

過去を振り返りたがらない。




②ポジティブ依存

なごみキャラ・癒し系と呼ばれることも。場を和ませるのが得意。

ミスを繰り返して、無能扱いされることが多い。いじめられっこタイプ。



③ネガティブ自立

いわゆるデキる人。仕事を任せたら完璧に仕上げる。

チェックが厳しい、批判的な面がある。デキない人が許せない。いじめっ子タイプ



④ネガティブ依存

問題を発見するのが得意。芸術的な感性が高い。

悲観的で自己批判が強い。過去にとらわれがち。



一見①ポジティブ自立が一番いいように見えますが、そんなことはありません。


①~④どのタイプにも長所・短所があるのです。


まあ、長所・短所というのは所詮は思い込みでしかないんですけどね・・・。


後半に続きます。









薄々気づかれてる方もいらっしゃるかもしれませんが、①~④のタイプはそれぞれセットになるタイプがあるのです。



1つ目の組み合わせは、①ポジティブ自立と④ネガティブ依存

2つ目の組み合わせは、②ポジティブ依存と③ネガティブ自立



人間関係が発生するところでは、強弱はありますが、人は必ず①~④のどれかに属すことになります。


自分が①~④どこに属するかは、周りの人によって決められます。



例えば、目の前の人が強烈なポジティブ依存の傾向がある人ならば、その人はミスを繰り返し、あなたから見ると非常に無能な人間に見えます。


そうなるとあなたは必然的にその人に対し、批判的になり、なんだかいじめたくなるような感情が湧き出てくることになります。


この時、あなたは「ネガティブ自立」になったことになります。




また、別の人と相対した時、その人が強烈なポジティブ自立で

「人生常に前向きだよ!ファイトファイト!」

みたいなことばっかり言う人ならば、

「この人は常に前向きで明るいのに自分は・・・」「そんなこといってもどうせ私には無理だよ。だって〇〇は悪いし、××はうまくいかないし」

と、問題点をひたすらあげてふさぎ込んだ気持ちになります。



この場合、あなたはネガティブ依存に飛ばされてしまったということになります。




逆に、相手の人がひたすら「どうせ私なんて・・・」「もうだめです」のような発言を繰り返し、暗ーい表情をしていると、
「そんなに人生捨てたもんじゃないよ!元気出して!」
と、励ましたい気持ちになります。


この時、あなたはポジティブ自立に飛ばされたことになります。




とまあ、こんな感じで目の前の人がどんな人かによって自分の立ち位置が変わってくるのです。




4つのタイプのどれが優れているということはありません。



一般的には明るくてエネルギッシュな「強いポジティブ自立」が良いとされる傾向があります。


しかし、上記の例のようにポジティブ自立が強すぎると周りの人のやる気や活力をそいでしまうのです。




これが会社の社長さんだったりすると、社長は完全なワンマン経営に突入するわけです。


やる気に満ち溢れた社長。

暗く活力のない社員たち。

という構図です。




しかし、社長さんは自分が周りのやる気をそいでいるなんて想像もしませんので、この状態はいつまでも続きます。





ちなみに、実はアメリカではうつ病の患者が多いそうです。



ポジティブ自立を前面に押し出してくるお国柄ですが、その反動でネガティブ依存に飛ばされている人も多いということですね。






また、ポジティブ依存とネガティブ自立の関係も悲劇が起こります。



ポジティブ依存は癒し系でもありますが、ポジティブ依存に飛ばされた人は仕事ではミスを連発する傾向にあります。


すると、ネガティブ自立の人になった人は、ポジティブ依存の人を無能扱いします。

ネガティブ自立になっている人から見ると、ポジティブ依存の人がミスをするのが信じられないのです。



また、強いポジティブ依存の人に相対した時、ネガティブ自立に飛ばされた人は言動がきつくなる傾向にあります。



「なんでこんなミスするの!?こんどヘマしたらただじゃおかないぞ!」

「信じられない!この無能!」



と、ポジティブ依存の人を追いつめるような発言が平気で出来てしまいます。
(これはネガティブ自立が悪いということではなく、だれでも強弱はありますがこのような心理状態になるということです)



この先は悲劇です。



ポジティブ依存は物事を考えるのが苦手な傾向があります。

物事を考えようとすると、思考にもやがかかって考えが進みません。



対してネガティブ自立は物事を考えるのは得意。仕事もバンバンこなしていきます。

むしろ、なぜ周りの人が自分の仕事のスピードや考えについてこれないのかイライラします。



こんな2人が一緒にいると、お互いの傾向はますます強くなるばかり。




大抵ネガティブ自立の人がポジティブ依存の人をいじめるという構図が出来上がります。



しかし、ネガティブ自立の人はいじめをしていて楽しいなどということは無く、どんどんイライラがたまっていくので、辛いことには変わりありません。



また、ポジティブ依存の人は組織のスケープゴート(=生贄)にされる傾向にありますので、自分が悪くないのに罪をいつの間にかかぶせられているということが頻発します。





やはりポジティブ依存とネガティブ自立の組み合わせもつらいものなのです。





ではどうすれば!?ということになりますが対策は2つ。




1つ目は、できるだけ人間関係をつくらないこと。

人間関係が浅い関係には「人間関係マトリックス」の関係は発生しません。



普段挨拶をかわすくらいしかないご近所さんとは「人間関係マトリックス」は発生しないのです。



ただ、この方法はなんだか寂しいですし、日常生活を送るにあたり人間関係を浅くしようとしても限度があります。





ということで、2つ目の対策は、

自分がどの立ち位置にいるかを把握して、人間関係マトリックスの「センター」に近づく思考をする

です。


「センター」とは、ポジティブ・ネガティブ・自立・依存のどれにも属さない究極の状態です(人間関係が浅くない状態で)。




各立ち位置でセンターに近づくためには下記のような思考をするとよいとされます。



①ポジティブ自立(ネガティブ依存の人を前にしている時)

私は弱音を吐かないよう頑張っているだけかも?
私の気づいていないことを相手は感じているのかも・・・・。
もう少し相手の話をよく聞いてよう。



②ネガティブ自立(ポジティブ依存の人を前にしている時)

私は結果ばかり気にして相手になんてひどいことをしていたんだ!
よく見るとみんないいところがたくさんあるじゃないか!



③ポジティブ依存(ネガティブ自立の人を前にしている時)

あれれ、私は何をやっていたんだろう。
ちょっと落ち着けば私にもできることばっかり!



④ネガティブ依存(ポジティブ自立の人を前にしている時)

世の中そんなに捨てたもんじゃない。
過去にばかり目を向けないで、私にも何かできることがあるはずだから、やってみよう!



となります。



最後になりますが、このお話は本田健さんのお書きになった

「ユダヤ人第麩棒の教え~再びアメリカへ編~」をもとに書いた記事です。


興味を持った方は、ぜひ本を読んでみてください。




サキちゃんのママ

サキちゃんのママは重い病気と闘っていたが、死期を悟ってパパを枕元に呼んだ。
その時、サキちゃんはまだ2歳。


「あなた、サキのためにビデオを3本残します。
このビデオの1本目は、サキの3歳の誕生日に。
2本目は小学校の入学式に。
そして3本目は…○○○の日に見せてあげてください」



まもなく、サキちゃんのママは天国へと旅立った。



そして、サキちゃんの3歳の誕生日。1本目のビデオがかけられた。
(ビデオからつないだテレビ画面に、病室のママが映し出される)



「サキちゃん、お誕生日おめでとう。ママ、うれしいなぁ。
でもママはね、テレビの中に引っ越したの。
だから、こうやってしか会えない。
パパの言うことをよく聞いて、おりこうさんでいてね。
だったら、ママ、また会いに来ます」



サキちゃんの小学校入学の日。2本目のビデオ。



「サキちゃん、大きくなったネ。おめでとう……。
ママ、うれしいな。どんなにこの日を待っていたか。
サキちゃん、ちゃんと聞いてね。 ママが今住んでいるところは、天国なの。
だから、もう会えない。
でもね、パパのお手伝いがちゃんとできたら、ママ、もう一回だけ、会いに来ます。
じゃあ、魔法をかけるよ。 エイッ!
ほうら、サキちゃんは料理や洗濯ができるようになりました」




そして3本目のビデオ。そのタイトルは、こう書いてあった。

新しいママが来た日のサキちゃんに




そしてサキちゃんが10歳の時、パパは再婚し、新しいママが来た。
3人いっしょに、3本目のビデオを見つめた。
なつかしいママの顔が映し出された。



「サキちゃん、おうちの仕事、がんばったね。えらかったね。
でも、もう大丈夫。新しいママが来たんだから。
…… サキちゃん。今日で本当にお別れです。 ……
サキちゃん、今、身長はどれくらい?ママには見えない。
(泣き崩れ、カメラを抱え込む姿が映る)
ママ、もっと生きたい…。 あなたのために、おいしいものいっぱいつくってあげたい…。
あなたの成長を見つめていたい…。
じゃあ、サキちゃん、これがママの最後の魔法です。
それは、『ママを忘れる魔法』です。
ママを忘れて、パパと、新しいママと、楽しい暮らしをつくってください。
では、魔法をかけます。1、2、3、ハイッ!」



そこでビデオは終わった。




しかし、サキちゃんに、この魔法は効かなかった。 パパと、新しいママにも効かなかった。
ママは、みんなの心の中に、ちゃんと残っていた。




そして今度は、サキちゃんが主役の、4本目のビデオがつくられたのだった。
天国のママに見てもらうために
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